津波の恐ろしさを知る

先の東日本大震災では、地震発生直後に沿岸部を襲った「津波」が、さらに事態を悪化させました。倒壊した家屋をけが人もろとも押し流し、人の暮らしの全てを跡かたもなく消し去ってしまったのです。
実際の津波は、映画で見るような「水の壁」が迫ってくるというようなものではありません。実際の海岸で押し寄せるような高波ではなく、「海そのもの」がそのまま内陸に押し寄せるイメージです。そしてその速度は案外鈍重に見えます。徐々に水位が上がっていくようにみえます。ですが、その波は当分「引く」ことのない長い波です。水かさを一気に増しながら、大きな質量の塊となって抗う術のない怒涛として、内陸へと浸食します。
それは上陸した後、陸地の地形によって複雑に進路を変え、速度や水かさに変化をつけながら、しかし確実に陸地を浸食していきます。
津波にはその津波地震が押し流した瓦礫が入り混じっています。津波にのみ込まれることは、その瓦礫の海に身を投じることと等しいです。そしてその流れは複雑怪奇です。運よく船や大きな板などで、水面よりも上に上がれたとしても、簡単には止まりません。どこまでも内陸へ押し流されます。
津波はあるところでは鉄筋の建物に激しくぶつかり、そして破壊し、湾曲した津波と津波がぶつかり合い、車は人を閉じ込めたまま浮きあがり、時には完全に水中に没しながら流され、その過程で破壊されます。電柱や樹木も押し倒され、瓦礫の一部になります。
このような津波には、私たちは勝つ術事態がありません。非難するよりほかありません。
津波から生き延びる唯一の方法は、「津波に遭遇しない」ということです。それほどまでに、強大なパワーを持つ、巨大地震の恐るべき副産物が、「津波」なのです。
いざ対面した際には、対処のしようが全くありません。自らが吞まれないように、そして大切な人が呑まれないように、ただ逃げるしかありません。
津波から非難するためには、やはり日頃から「避難場所」を明確にしておく必要があります。避難場所、そして避難経路を完全に把握し、緊急時には間違いなく辿りつけるよう、場所と経路をしっかりと意識しておく必要があるのです。
いつ起こるかわかりませんが、起こってから覚えているのでは遅いのです。沿岸部の方は、必ず避難場所を把握しておきましょう。